【図解あり】人材紹介事業の営業利益率と経営のコツをわかりやすく解説

新型コロナウィルスによる経済の停滞から抜け出しつつある今、コロナ禍以前と同様に、有効求人倍率は高まり、多くの企業が深刻な人材不足に陥っています。そんな人材不足が追い風となるビジネスモデルとして人材紹介事業があります。

この記事では、人材紹介事業の新規立ち上げを検討している方向けに、ビジネスモデルや営業利益率、経営のコツ、リスク要因について解説します。

人材紹介事業のビジネスモデルとは?

人材紹介の面接の様子

人材紹介事業は厚生労働省管轄の許可制ビジネス

人材紹介事業の正式名称は「有料職業紹介事業」と言います(以後、人材紹介事業)。厚生労働省による許可制のビジネスです。事業を行うためには厚生労働省に許認可申請を行い、あらかじめ許可を取得する必要があります、

※許認可申請の手順を知りたい方はこちらの記事をご参照ください

人材紹介事業のビジネスモデルはハローワークと同様

この「有料職業紹介」には対となる「無料職業紹介」があります。この「無料職業紹介」がいわゆるハローワークです。

人材紹介事業とは、ハローワークが行っている「人材が欲しい企業」と「雇用先を見つけたい求職者」のマッチングを民間企業が有料で行う事業です。ここで「有料」になるのは求人企業側のみで、採用が確定すると、企業側から人材紹介会社が人材紹介手数料として費用を得る仕組みです。

当然、有料で行うものなので、ハローワークよりもクオリティの高いマッチングサービスを行う必要があります。

※求職者側には費用が発生しないのが一般的です。

【有料でも「人材紹介」を使うメリット】

(求人企業側)
➢成功報酬型(入社時に費用発生)のため費用対効果が確実
➢自社の採用業務を軽減できる
➢求人媒体へ掲載する手間がなくスピード採用ができる

(求職者側)
➢そもそもコストがかからない
➢特定の領域、企業に詳しい専門アドバイザーから情報が得られる
➢書類作成や面接対策など選考過程で様々なサポートを受けられる
➢在職中で忙しくても転職活動が行える

人材紹介手数料の相場は求職者の年収の30%

人材紹介事業の売上となる紹介手数料は一般敵に30%程度に設定している企業が大多数です。

※許可申請時に上限パーセンテージを決定する必要があります。

ただし、業界、職種、エリアなど紹介する求職者の市場性によって変化します。そのため、人材紹介で注力する領域(医療業界特化、建設業界特化、第二新卒特化、ITエンジニア特化など)ごとの手数料相場はあらかじめ調べておいたほうが良いでしょう。

人材紹介の市場規模は5,874億円。10年で約3倍に成長。

人材紹介の市場規模は「令和元年度職業紹介事業報告書の集計結果」によると、令和元年の報告時点で約5,874億円という結果が算出されております。

時系列で比較すると10年間で約3倍に成長しており、日本で数少ない成長市場であることがわかります。

市場の成長に併せて参入事業者も増えており、10年でプレーヤーが約1.4倍に増えています。人材紹介事業は求人企業の採用意欲と密接な関係があるため、景気との連動性があります。

しかし、景気以前に、日本は深刻な少子高齢化による労働力不足に陥っているため、企業の採用意欲に対して、人材が不足する状況は今後も継続するといえるでしょう。

人材派遣との違いは固定費の違い

費用計算

人材紹介事業と混同されやすいのが「人材派遣事業」です。人材派遣事業も企業の人材不足に対して、労働力を供給するという意味では同じ役割を担っていますが、大きく異なる点があります。それは、雇用主の違いです。

  • 人材派遣:自社雇用した人材を求人企業に派遣
  • 人材紹介:求人企業での直接雇用

上記の雇用形態の違いによって、営業利益率やビジネスモデルは大きく異なります。人材派遣事業では、人材を自社雇用し人材を必要とする企業に派遣するため、人件費や社会保険、福利厚生費用などが発生します。

自社で人材を雇用するため、派遣先が見つからない場合でも人件費などのコストがかかるため、「雇用リスク」が高い事業といえます。また近年、同一労働賃金の適用など、派遣法の改正によって事業の困難性が増しています。

一方、人材紹介事業は、求人企業による「直接雇用」となるため、雇用リスクを負う必要がありません。そのため、固定費が小さくスタートしやすい事業でもあります。

人材紹介事業における売上と主な費用

コスト計算イメージ

人材紹介事業での売上は、紹介決定人数×決定単価となります。

対して、主に発生する事業経費は、下記のとおりです。

【主な事業経費】
・地代家賃
・人件費
・広告宣伝費
 ・求職者募集用媒体の利用料や広告出稿費用
  ・スカウトサービス
  ・WEB広告
  ・SNS広告
  ・アフィリエイト広告
  ・リスティング広告
  ・媒体広告 etc..
・SEO
・求人開拓費用
 ・テレアポ外注
 ・求人データベース利用費用

※求職者の集客の各手法については別記事でまとめてUPしていますので、詳しくはそちらをご覧ください

営業利益率30%も目指せる!営業利益率が高い人材紹介事業

利益が伸びていくイメージ

人材紹介事業は仲介による手数料ビジネスのため、大規模な設備投資や仕入れがなくとも事業運営が可能です。そのため、売上に対する費用が小さくなり営業利益率が高くなる傾向があります。実際に人材紹介事業における費用項目は下記の通りです。

地代家賃についても、既に本業で使用しているオフィスがある場合は、有料職業紹介の許可基準を満たしていれば追加で地代家賃が発生することもないでしょう。

【月次P/L(損益計算書)例】
(収益)810万円
月間売上:810万円(年収300万円×手数料率30%×9名)
(費用)540万円
人件費  :200万円(CA3名+RA人1名)
地代家賃 :50万円
消耗品費 :40万円
広告宣伝費:250万円
 ・求職者募集費用    :200万円
 ・求人データベース利用料:20万円
 ・その他システム利用料 :30万円
(利益)270万円
(営業利益率)33.3%
※紹介決定者の年収は一律300万円
※紹介手数料が一律30%
※人件費(福利厚生込み)一律50万円
※CA=キャリアアドバイザー:求職者対応
※RA=リクルーティングアドバイザー:求人企業向け営業
※求人データベース:求人案件が全てクラウド上に集約されているデータベースサービス。
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人材紹介事業の営業利益率を高めるには?

会社イメージ

上記の例の通り、人材紹介事業は経費項目が非常に少なく、そもそも営業利益率が高いことがビジネスモデル上の特徴です。

また、人件費や地代家賃などは固定費であるため、営業利益率を高めるためには、変動費である「広告宣伝費」をテコ入れする必要があります。

広告宣伝費の中でも、特に大きな金額を占める「求職者募集費用」をいかに抑えられるかが肝です。

人材紹介事業において「求職者募集費用」は、一般の小売り事業にたとえるのであれば「仕入れ」とも考えられます。

そのため求職者を効率的に募集ができればその分、利益額が大きくなります。求職者募集の方法については様々な方法があります。

募集する求職者の属性によっても大きく異なりますが、一般的に求職者募集で有効な募集手法は以下の通りです。

【人材紹介事業における有効な募集手法】
(オンライン)
 ・SEO
 ・Googleリスティング広告
 ・indeed
 ・SNS
 ・アフィリエイト広告
 ・スカウトサービス

(オフライン)
 ・友人/知人紹介(リファラル)

友人紹介、SEO(検索エンジン最適化による上位表示の獲得)で求職者募集ができれば、都度の発生費用は0円に近いため、仕組みを構築できれば非常に有効な施策となります。しかし、SEOはリクルートやマイナビ、パーソルなど人材業界の主要プレイヤーとの戦いになるため、構築難易度は高いといえます。

スカウトサービスは、一般的に成功報酬として紹介手数料の15~20%程度の固定費用がかかるため、企業努力による変動性がありません。

そのため、現実的にはオフライン領域でいえば「友人/知人紹介」、オンライン領域でいえば、「Googleリスティング広告」「indeed」「SNS」「アフィリエイト広告」での求職者募集ノウハウを高め、コスト効率のよい求職者募集を実現し、営業利益率を高めて行く必要があります。

そのなかでも、特に「Googleリスティング広告」は応募後の決定率が高くなる傾向があるため、優先的に注力するべき施策です。

まとめ

この記事では、人材紹介事業のビジネスモデルの優位性と営業利益率をさらに高めるための経営のコツについて解説しました。

今回紹介した友人/知人紹介はすぐに始められる手法なので、サービス品質の向上とともに、こまめな声掛けを行うなど是非実施してください。

また、求職者募集の効率を高めるためには、人気の高い魅力的な企業の求人案件が必須です。

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▽執筆者

ナウビレッジ株式会社
COO(最高執行責任者) 青木凌

人材紹介事業者向けに「求職者募集マーケティングの内製化」をゴールとし、WEBにおける求職者募集スキームの構築支援を行っております。実際に約9年間人材紹介事業を経営していた弊社社長の実経験から導いた求職者募集ノウハウを惜しみなく提供しております。

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▽経歴

株式会社船井総合研究所を経て、ナウビレッジ株式会社に参画。

人材紹介事業の新規立ち上げをはじめ、50社以上の新規事業の立ち上げを支援。

利益を生む仕組み作りから、組織拡大のための採用、チームビルディングまで幅広いコンサルティング実績を持つ。

Google広告、indeedなどの代表的な広告手法はもちろんのこと、Twitter、Instagram、YouTube、TikTokなど各種SNSを活用した最新のデジタルマーケティングに強みを持つ。
「売上に直結するマーケティング」と共に、「中長期的な利益」を重視するコンサルティングスタイルが顧客より高い評価を受けている。