「転職エージェントで独立したい」と開業を検討していると、「独立したら年収いくらが目安になるんだろう」と不安になる人もいるでしょう。
この記事では、開業理由や独立する際のメリット・デメリット、リアルな年収、売上拡大を狙う方法についてご紹介します。いつかは自分の手で転職エージェントを立ち上げたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
実際に人材紹介会社を立ち上げた後、人材紹介を行っていく際の実務の流れは以下で詳しく紹介しています。
転職エージェントで独立した理由
転職エージェントで独立する人は、実際にどんな理由で独立を考え始めたのでしょうか。ここでは、独立を目指した理由として近年よくあるものを紹介します。
コロナ禍で市場が変化したため
一つ目の理由は、新型コロナウイルスをきっかけにリモートワークの導入が加速され、ビジネスの在り方が大きく変化したことです。
求職者面談や面接がリモート化されたことで、顧客接点量を増やし、選考スピードもアップしやすくなりました。リモートワーク前提の求人増加に伴い、全国あるいはグローバル目線での求職者集客も加速しています。
こういった市場変化を受けて、個人でも転職エージェントを開業・運営しやすくなった点が、独立の後押しになっているようです。
KPI重視の働き方から脱却するため
転職エージェントは日本に28,000事業者以上あるため、非常に競争が激しい業界です。競合数が多いことに加え、マネタイズのポイントは紹介料のみとなるため、面談数や進捗数、スカウト数などのKPI重視の経営に陥りがちです。
転職や独立開業を検討した人は、このエージェントならではの量を追うビジネスモデルに疑問を感じたケースが多いようです。
KPI管理が厳しい転職エージェントでは、残業過多になる傾向も見られます。ライフイベントと両立できる柔軟な働き方を取り入れるため、独立を選ぶ人もいます。
転職エージェントで独立するメリット
転職エージェントで独立をする前に、独立ならではの利点や注意点を掘り下げて確認しましょう。本章では、エージェントで独立するメリットを3つピックアップして説明します。
初期費用が比較的少ない
転職エージェントは、他ビジネスよりも開業時の初期費用がおさえやすい点がメリットです。例えば、カフェやラーメン屋、居酒屋といった飲食ビジネスの初期費用は約1000~1500万円といわれています。街中の歯科医院を開業する場合は、専用の機材の準備に3000万円の初期費用が必要になるケースもあります。
一方、転職エージェントの独立時の初期費用はおおよそ600万円前後。資本要件500万円と事務所の固定費が多くのウエイトを占めます。事務所の設置要件が緩和されてシェアオフィス利用が可能になったため、オフィスの選び方次第ではコスト削減ができるでしょう。
●転職エージェントの初期費用目安
・資本要件:500万円
・事務所:50~100万円(選び方によって変動)
・職業紹介責任者講習:8,800円~1万数千円
・法人登記費:20~30万円
小計:約570万円~630万円
市場ニーズが高い
少子高齢化が続き、人生100年時代を迎えた日本では、引き続き転職ビジネスのニーズが高いことも開業メリットです。大企業の中途採用を推進するため、令和2021年に中途採用比率を公表する制度が義務化され、今後も転職市場は追い風となる見込です。
矢野経済研究所の2022年度調査によると、人材ビジネス市場(調査対象:人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業)は前年比7.8%増、9兆2,355億円となっています。中でもホワイトカラー職種の人材紹介業市場は3,510億円で前年比18.6%増で、今後も需要が高い状態が続くでしょう。
独自の方針で取り組める
KPI縛りの運営方針に疑問を感じて独立した人にとっては、自分の方針で事業運営できるのはメリットでしょう。
人材紹介ビジネスは、企業と求職者のあっせんにより、「理論年収」の約3割を確保できるシンプルなビジネスモデルです。マネタイズポイントがシンプルがゆえ、数を追うスタイルで疲弊する点がデメリットと考えられますが、独立すれば独自の価値観で顧客にアプローチが可能になります。
エージェント事業と並行して採用コンサルティングのサービスを手掛けたり、求人紹介に加えてコーチングやスキルアップサービスを提供したりするなど、自分のこだわりを持ち、自由に運営できるのは独立ならではの利点でしょう。
転職エージェントで独立するデメリット
一方で、転職エージェントで独立するときのデメリットは何が考えられるでしょうか。本章では、競合差別化の難しさや、業務負担の大きさなどを取り上げて解説します。
競合数が増加し続けている
転職エージェントは求職者にとって需要がある一方で、新規参入者が増え続けている点はデメリットといえます。
厚生労働省によると、2022年度の優良職業紹介事業所数は28,740件でした。5年前と比較すると138%の増加、10年前との比較では169%の大幅増となっています。
急激に競合が増えている中で差別化が難しく、人材や求人が取り合いとなっている現状を理解し、独立検討すべきでしょう。
競合差別化を図るため、自社ホームページに注力するのも重要です。人材紹介会社のホームページを制作する目的や、掲載すべき内容は次の記事で紹介しています。
人材紹介のホームページ制作の目的は?基本のコンテンツや制作のポイントを紹介
顧客開拓の難易度が高い
競合数が増加している現状に加え、少子高齢化で人材が不足している昨今、求職者開拓が非常に難しい点はデメリットです。
「求職者は集まったけど肝心な求人がない」「求人依頼はコンスタントに入るものの良さそうな人材確保に時間・コストがかかりすぎる」など、求職者と求人をバランス良く集め続けることの難しさがあります。
顧客開拓の手法としてSNSやオウンドメディアなど便利なWebツールもありますが、正直なところ、どのエージェントも似たような手法で集客を試みています。転職エージェントで成果を出すためには、独自の顧客開拓手法を入念に計画する必要があるでしょう。
手間のかかる求人獲得業務を削減する方法として、求人データベースの活用はおすすめです。circus AGENTの求人データベースを活用すれば、40,000以上もの求人を一気に利用可能になるだけでなく、創業期のサポートまで受けられます。
業務負担が大きい
転職エージェントで独立すると、細々としたタスクを1人または少数の組織でこなす必要があります。業務負担が大きくなりやすい点は、独立のデメリットと考えられます。
始めは社員を雇わず、1人で事業運営をする人は少なくありませんが、企業と求職者対応はもちろんのこと、契約関係の書類業務、面接や面談の細々とした日程調整、スカウトメール、集客のマーケティング施策、事業者の届出や手続きなど全てを担わなくてはなりません。
大手エージェントに属していれば、日程調整や不在時の電話・メール対応、スカウト業務を分業制で実施し、RAやCAごとにアシスタントがつく場合も多いです。
一人で独立をすると、業務に追われて肝心な顧客対応に集中できないリスクも考えられます。独立すると経営業務も増えることを忘れてはいけません。
転職エージェントの独立後の年収は?
独立した転職エージェントの平均年収を集めた統計データはありませんが、想定される固定費や一般的な利益率をもとに、おおまかな年収目安を算出しました。
●前提条件
- 独立後、社員の雇用はしないで1人で経営
- 紹介料は一律30%
- 年収400万円の求職者を月2名決定(240万円/月)
●固定費/月額
- 賃料:50万円
- 集客費:50万円(求人データベース20万円+求職者データベース30万円)
- その他(通信費や消耗品など):10万円
固定費合計:110万円
売上:240万円=利益130万円
年収目安:1560万円
上記の条件で算出すると、1500万円以上の年収を得ることができます。ただし、上記金額には法人税や社会保険料を含まず、求職者データベースやWeb広告の費用はピンキリです。法人登記する際のイレギュラーな支出も別途考慮に入れる必要があります。
法人登記して転職エージェントを運営する場合は、役員報酬の設定金額によっても年収は変動するため注意してください。
会社員の転職エージェントの平均年収
一方で、会社員で転職エージェントの仕事をする場合の収入目安をご紹介します。転職エージェントの平均年収を調査した公的なデータはありませんが、実際の求人データなどから算出しました。
某大手転職エージェントの想定年収 | 434万円 ~796万円 |
indeedで検索※1 ※1 2023年12月2日indeed給与調査で検索 | 人材コンサルタント 383万円人材コーディネーター 381万円 キャリアアドバイザー 466万円 |
転職サイトで検索※2 ※2 2023年12月2日dodaで検索 | 1999求人中、244件が年収1000万以上可 エグゼクティブサーチでは最大4000万円を記載している求人も |
上記の他に、マイナビ転職 2023年版 職種別 モデル年収平均ランキングの「人材コーディネーター、キャリアカウンセラー」の平均年収は549万円というデータもあります。
エグゼクティブサーチやハイクラス向けエージェントを除けば、会社員のエージェントは年収500万円前後が一つの目安となりそうです。
独立して売上拡大を狙うためのポイント
独立系エージェントとして年収アップを狙うためには、他社との差別化や業務の自動化など、基礎的な対策が必要不可欠です。転職エージェントで独立し、売上を拡大するポイントを紹介します。
得意領域を明確にする
競合が多い中で生き残っていくためには、他エージェントとの差別化戦略が必須です。
得意な業界、職種はあるのか、どのような支援スタイルをとり、どのような価値発揮をするのか。自社の得意とする領域を明確に定め、マーケティング戦略およびブランドイメージを固めていくことが最重要でしょう。
集客手法を工夫する
求人と求職者をバランス良く集客し続け、マッチングのペースを落とさないことが収益化の面で大切です。
一般的な集客方法には、スカウトシステムの活用、Web広告やSNS、オウンドメディア、イベントなどが挙げられますが、より効率的に求人を集めるならcircus AGENTのような求人データベースの活用も欠かせません。
circus AGENTは、求人獲得と求人見極めを自動化する転職エージェント向けの求人データベースで、1000社以上の成長エージェントが導入しています。サービスの詳細は、ダウンロードできる資料をご確認ください。
転職エージェント向けのシステムを使いこなす
日々の大量な業務を効率化してコア業務に集中するため、転職エージェント専門のITシステムを使いこなすこともポイントです。さまざまなSaaSサービスが生まれ、顧客管理システムや営業支援、マーケティング支援のシステム導入は、今や当たり前になりました。
今後、転職エージェントで独立して成功するためには、ツールをただ使うだけではなく「使いこなす」意識が重要です。まだExcelで求職者管理をしている方や、人材紹介専門のシステムを触ったことがない方は、この機会にぜひcircus AGENTでの業務効率化システムもチェックしてください。
circusAGENTは転職エージェントの独立を後押しします
リモートワークを前提とした市場に移行したことや、働く価値観の変化、数を追う営業スタイルからの脱却などを背景に、転職エージェントで独立をする人が増えています。転職需要が拡大し、起業時の初期費用がおさえやすい点から、転職エージェントの独立は注目されいています。
一方で、競合が多すぎて他事業者との差別化・集客が非常に難しいことや、業務量の多さを理解した上で新規参入を検討すべきでしょう。独立後、事業を軌道に乗せるために、circus AGENTの求人データベースの活用もおすすめです。
より詳しい起業方法を知りたい方は、次の記事もあわせてご確認ください。