これから人材紹介ビジネスを始めようと考えている人向けに、人材紹介の基本的な流れを解説します。
本記事では、法人側の営業であるRAと、求職者対応を行うCAを分けている分業制のエージェントを例に挙げて、RAが企業や求職者と接触してから紹介決定するまでの流れを説明します。
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RAの仕事の流れ
まずはRA(リクルーティングアドバイザー)の仕事の流れを10ステップで解説します。会社によって多少ステップは異なりますが、基本的な人材紹介の流れとして参考にしてください。
- 求人企業へのアプローチ
- 人材紹介契約の締結
- 募集要件や紹介数、連絡方法などの取り決め
- 社内で求人票を展開
- マッチする求職者に求人提案
- エージェント向け説明会の参加や情報収集
- マッチング成立後、選考開始
- 内定連絡・入社日調整
- 請求書発行
- 追加の紹介依頼はないか・アフターフォロー
求人企業へのアプローチ
RAの最初のステップは、人材を紹介する企業の開拓です。代表的な開拓方法には、テレアポや広告の出稿、求人データベースの利用、知人紹介などが挙げられます。
なお、企業から募集職種についてヒアリングする際は、労働条件を聞いて終わりではありません。事業内容を多角的な視点で深掘りする質問を投げかけたり、資本に関する取り組みや、「IPOを目指すスタートアップ」「安定的な中小企業」といった企業特徴による分類、人材紹介を利用する意欲を確認するための質問なども行い、優先的に紹介契約を結ぶべきか判断しなければなりません。
どのような観点で企業にヒアリングすべきか、独自のフォーマットを作成してまとめているので、ぜひ活用してみてください。
また、求人獲得をメールで行う際のコツについて、次の記事で詳しく紹介しています。
人材紹介契約の締結
企業との商談の後、正式に人材紹介サービスを利用すると決まったら、人材紹介契約を締結します。契約書を締結する前に求職者を紹介してしまうと、中抜きにつながるなど金銭的リスクもあります。
以下の記事を参考に、必ず人材紹介基本契約書を作成し、2社間で締結しましょう。
募集要件や紹介数、連絡方法などの取り決め
人材紹介契約を結ぶ前後で、具体的な募集要件を確認して求人票を作成します。また、契約後にお互いにストレスなくやり取りを進めるために、電話可能な時間帯の確認や連絡する際のツール(メール、slackなど指定はあるか)も両者間で取り決めると良いでしょう。
採用担当者によって、電話をメインにして欲しい、特定の時間帯の連絡は避けて欲しい、紹介者がいなくても定期的に振り返りミーティングを実施して欲しいなど希望があるはずです。定期的に情報交換をして関係性を築きたいと希望しているにも関わらず、紹介できる人材がいないからといって、契約後に何週間も放置してしまうと関係悪化につながりかねません。
中には、「契約後の2週間以内に、10名の求職者推薦を目標とします」と、目標人数を設定して期待値調整する人材紹介会社もいます。中小規模の人材紹介会社は人数の確約はリスクが高いため、連絡手段やコミュニケーション頻度に注意し、両者ですり合わせることをおすすめします。
トラブルを防ぐための契約書作成方法に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。
人材紹介で手数料が払われない!中抜きや未払いトラブル事例と対処法
社内で求人票を展開
求人票や諸条件が出そろったら、社内に持ち帰って、求人・企業情報を共有します。
優先的に人材紹介を進めたい求人であれば、「今月中に最低でも3名は面接設定をしたい」など、明確な数値目標を伝えるのもポイントです。その後、CAが適切な求職者にアプローチをして、求人提案と応募以降の確認を進めます。
また、求人票を社内展開するだけでなく、企業との商談で得た情報をなるべく細かくCAに伝達するようにします。
例えば、求人票の文字数に限りがあり明記できないものの、「スタートアップで社内制度が整っていなくても、自分で考えて提案できるタイプの人材を求めている」など、求める人物像を理解するための補足情報は伝えるなどです。
余力があれば、RAも自ら社内データベースを閲覧して、「この人材にアプローチしてもらえないか」とCAに知らせるのも良いでしょう。CAの業務にどこまでRAが関わるかの線引きは、企業によって異なります。
エージェント向け説明会の参加や情報収集
人材紹介契約を結んだ後も、企業の最新情報をキャッチアップするため、また関係性構築のために行動を続けます。
企業の中には、企業理解を深めてもらい人材紹介会社からの紹介を促すための「エージェント向け説明会」を実施するケースもあります。エージェント向け説明会には積極的に参加し、情報収集を継続しましょう。
マッチング成立後、選考開始
CAがアプローチした求職者から応募意向の確認をとれたら、実際の選考フローに進みます。選考の日程調整は人材紹介会社が実施するため、間違いのないよう、かつスピード感を意識して採用担当者のスケジュールを押さえて調整していきます。
場合によっては、その求職者をおすすめする理由を推薦文にまとめ、採用担当者に提出し、前向きに選考に進めてもらうよう促します。
内定連絡・入社日調整
選考の結果、無事に内定が決まったら、CA経由で求職者に内定連絡を行います。
求職者は複数の人材紹介会社を併用していたり、複数の内定を獲得していたりする可能性もあります。そのため、求職者から入社意思の確認がとれたら、メールや書面にて「他の選考は辞退します」など返信いただき、エビデンスを残しておくと安心です。
ただし、「いつまでに返事がないと内定取り消しになる」と嘘をついて、無理に入社を勧めるのは厳禁です。後のトラブルを未然に防ぐためにも、求職者の意思を尊重した対応が必要です。
また、入社日が決まったら、労働者と企業間で労働契約書(雇用契約書)がきちんと締結されたかの確認も怠らないようにしてください。
請求書発行
紹介手数料は、原則として入社日が請求日になることが多いです。紹介した人材がきちんと入社したか確認をしてから、請求書を発行します。
追加の紹介依頼はないか・アフターフォロー
紹介手数料の入金確認がとれたら、アフターフォローとして入社した人材が問題なく働けているか定期確認を行います。アフターフォローの手法については、人材紹介会社によってまちまちですが、定期連絡をしながら別ポジションの採用は発生していないか確認し、追加提案を行う場合もあります。
CAの仕事の流れ
続いて、CA(キャリアアドバイザー)の仕事の流れを8ステップで解説します。RAと同様に、必ずこの流れで人材紹介を行わなければならない訳ではありません。自社の業務フローを考える際の、参考にしてください。
- 求職者へのアプローチ
- 初回面談
- 書類添削・アドバイス
- 求人紹介
- 選考の日程調整
- 必要に応じて面接対策や面談実施
- 内定連絡・入社日調整
- 入社・アフターフォロー
求職者へのアプローチ
求職者を開拓する方法には、リンクトインやTwitter、YOUTRUSTなどのSNSの活用や、オウンドメディア、各種広告出稿、知人紹介、求人サイトの専用スカウトなどが代表的です。
今転職活動をしている人、潜在的に転職ニーズがある人を探して集客します。
初回面談
求職者との初回面談は、一般的に人材紹介会社のオフィスの面談室か、近隣のカフェなどで実施します。
コロナ禍になってからは完全リモートで面談実施するケースも増えており、LINEと電話のみで対応する場合もあります。初回面談は30分から1時間程度の時間で、転職希望時期や過去の経歴、希望条件をヒアリングします。
求職者へのヒアリング項目は、以下のシートを参考にしてください。
書類添削・アドバイス
初回面談が終わったら、求職者の応募書類の添削やアドバイスを実施します。職務経歴書の添削や作成サポートをPRにしているエージェントは多く、自社の職務経歴書・履歴書のテンプレートを共有する会社もいます。
求人紹介
求職者に求人紹介を行っていきます。大手エージェントでは、求職者専用の管理画面で求人票を共有し、気になる求人にチェックをつけるなどシステム上でやり取りする場合もあります。
スムーズな応募を促すために、「1週間以内に応募したい求人があれば教えてください」など納期を決めたり、求人票を渡すタイミングで「おすすめしたい理由」を伝えたりする工夫が必要です。
選考の日程調整
求職者から応募意思を確認できたら、企業に推薦して、問題なければ選考を進めていきます。
人材紹介会社が求職者と採用担当者の間に入って日程調整をする際は、URLを送ってカレンダーを共有できるツールの活用もあわせて検討すると良いでしょう。
必要に応じて面接対策や面談実施
選考の途中で必要に応じて面接対策やアドバイス、面談を実施します。
複数回の面接対策をとりいれたり、最終面接前のみ模擬面接を行ったり、一次面接の求職者の印象をRAがヒアリングした後にCAを通して求職者にフィードバックを行うなど手法はさまざまです。
内定連絡・入社日調整
CAから求職者に内定の旨を伝え、内定承諾の有無を確認し、入社意思があれば入社日の調整を行います。
求職者が決断を迷っている際に、本人の意思を尊重しつつ背中を押すのは問題ありませんが、極端に短い期日で決めるようプレッシャーをかけすぎるのは良くありません。
内定承諾した後も、スムーズに入社してもらうため入社準備に必要なものはないか伝え、不安払しょくできるようサポートを続けます。
入社・アフターフォロー
入社後は、早期離職を防ぐために求職者と連絡をとる場合もあります。また、次の人材紹介につなげるために、満足度を調査するためアンケートをお願いしたり、口コミを書いてもらったり、知人紹介を依頼したりするなど工夫すると良いでしょう。
まとめ
今回はRAとCAが分業制エージェントを想定して説明しましたが、両面型エージェントは本記事の内容をすべて1人で行わなくてはなりません。
少しでも業務効率化を図るために、求人開拓の際は求人データベースの活用をおすすめします。求人データベースとは、求人案件がクラウド上に集約されているデータサービスのことで、マンパワーが不足している中小エージェントでも効率的に求人開拓が可能です。
詳しくは次の記事で紹介しているので、あわせて参考にしていただければ幸いです。