人材紹介会社(有料職業紹介事業)を行おうとするときには、まず事業計画書の作成が必要です。事業計画書とは、主に融資を受ける際や取引先に事業の計画を見せる際に使用するものです。基本的に創業時に必須という書類ではありませんが、人材紹介会社を設立する際には許認可の取得時に「職業紹介事業計画書」の提出が求められています。
開業前に滞りなく準備を進めていけるよう、この記事では人材紹介会社が書くべき「職業紹介事業計画書」と、書き方について紹介します。
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人材紹介会社が提出するべき事業計画書とは?
事業計画書とは、今後の収支についてや事業の発展計画など、今後の会社運営についての方針を明確に示す書類です。この計画書を見ることで、事業の全体像がわかり将来性を理解しやすくなります。
フォーマットは特になく、何をどれだけ書いても問題ありません。ただし基本的には以下の項目が書かれています。
- 会社の名称、所在地、創業者など基本情報
- 創業者の経歴、キャリア、想い
- 会社のビジョン、理念、目標
- 事業内容
- 商品やサービスの特徴、強み
- マーケット状況や競合
- 資金計画
- 売上、利益計画
人材紹介会社は設立の際に、事業の許認可を申請して承認される必要がありますが、その際に提出するのが「職業紹介事業計画書」です。
こちらは一般的な「事業計画書」とは異なり、フォーマットが決められていて書くべき内容が定められています。そのため、もし銀行等で融資を得ようとするときは、別途必要に応じた内容を入れた事業計画書の作成が必要です。
なお、人材紹介会社を立ち上げる際に考えておきたい事項に関しては以下で詳しく説明しています。
人材紹介を起業するには?市場規模や開業方法・許可・禁止事項を解説
職業紹介事業計画書のテンプレートはどうやって手に入れたらいい?
人材紹介会社を始めるには、事業所ごとに必要書類を管轄の都道府県労働局経由で厚生労働大臣に提出します。
職業紹介事業計画書のテンプレートは厚生労働省「令和5年4月1日から適用される職業紹介事業の業務運営要領」で公開されているので、そこからPDFかエクセルファイルをダウンロードして作成していきましょう。
自治体ごとでも提出書類の一覧や、場合によっては記載例も掲載されています。
参考:厚生労働省東京労働局
職業紹介事業計画書と一緒に提出する基本書類
- 有料・無料職業紹介事業許可・更新申請書(様式第1号)…会社の名称・役員・所在地など基本情報を掲載するものです。
- 有料・無料職業紹介事業計画書(様式第2号)…本記事で紹介している事業計画書です。複数事業所がある場合は、事業所ごとに作成する必要があります。
- 届出制手数料届出書(様式第3号)…事業所ごとに作成するもので、人材紹介業で発生する手数料に関してあらかじめ金額を明記するものです。なお手数料は「上限制手数料」又は「届出制手数料」のいずれかを選択します。
- 職業紹介事業取扱職種範囲等届出書 (様式第6号)…人材紹介業で取り扱う職種の範囲等を明記するものです。職種・地域を定めて届け出る場合のみ提出が必要な書類です。
そのほか、登記簿謄本や定款、役員・代表者の住民票などの添付書類をあわせて提出することになります。
詳しくは厚生労働省の「職業紹介事業各種申請にかかる添付書類一覧(R4.10更新)」をご確認ください。
開業や免許取得までの流れやスケジュールに関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
【2022年最新版】5分でわかる人材紹介事業(有料職業紹介)免許取得マニュアル
人材紹介会社の職業紹介事業計画書の書き方・記入例
有料・無料職業紹介事業計画書(様式第2号)のそれぞれの項目ごとに、書き方を紹介します。
表題の書類名変更
書類の冒頭部には、複数の書類名が記載されていますが、このうち必要な部分のみを残し、不要部分を赤の二重線で取り消します。
たとえば、通常の人材紹介会社の形態であれば「有料職業紹介事業計画書」のみを残し、「無料職業紹介事業計画書」「特別の法人無料職業紹介事業計画書」の2つの行を二重線で取り消すことになります。
事業所名と許可番号の記載
次に許可・届出番号を記載する部分がありますが、「更新又は事業所新設の場合、許可・届出番号を記載」することになります。
事業計画書は事業所ごとに作成が必要な書類です。ここでは、該当の事業所名のみを記載します。
職業紹介年間計画の記載
②の「有効求職者見込数」に関しては、事業所で想定する、年間(年度内 3月末まで)における有効求職者の見込数をここに記載します。確実な数のみ記載するというよりも、あくまで現実的な見込み数を記載するものです。
なお、人材紹介業の許可には有効期間があります。新規許可の場合は新規許可の日から起算して3年、更新許可の場合は更新前の許可の有効期間が満了する日の翌日から起算して5年となっています。
期間満了の30日前までに、指定の書類を提出するということは覚えておきましょう。更新申請時の事業計画書には、直近の職業紹介事業報告に記載した有効求職者数を記載します。
取扱職種の範囲等を定めた場合のみ、①の「区分」にその範囲を記載します。
例えば、職業や役職、地域などで限定している場合、あるいは高年齢者やシングルマザーなどのステータスで限定している場合などがそれにあたります。
さらに、国外にわたる職業紹介を行おうとするときは国外分も別途記載が必要です。書き方は国内分の書き方と同じようにします。
従事者数の記載
その事業所内で、職業紹介事業に携わる人数を記載します。人数の中には、採用予定の数も含めます。人数としては、職業紹介事業にたずさわるのであれば従業員だけではなく役員も含めて記載します。
資産等の状況の記載
資産等の状況に関しては、法人設立の場合には記載が不要で、個人事業主のみの記載となります。直前の納税期末日におけるすべての資産等の状況を記載します。
職業紹介事業計画書を提出する前の注意点
人材紹介事業の開業にあたり、提出する書類は基本的に「原本1部」「コピー2部」が必要です。事業所が複数ある場合は、さらにその事業所分をそれぞれ作成し、原本とコピーも用意します。
そのほかの書類に関しては、以下の記事をご覧ください。
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融資等を受けたい場合に作成すべき事業計画書の書き方
ここまで、人材紹介事業の許可申請にかかわる事業計画書に関して解説してきました。一方で、事業を発展させていくために融資を受けたい場合や、取引先に事業内容を説明して理解を得たい場合も出てくるかもしれません。
そんな場合に活用できる事業計画書(以下、「一般的な事業計画書」に関して紹介します。一般的な事業計画書に記載したい内容としては、先述しましたが主に以下のものが挙げられます。
- 会社の名称、所在地、創業者など基本情報
- 創業者の経歴、キャリア、創業の想い
- 会社のビジョン、理念、目標
- 事業内容
- 商品やサービスの特徴、強み
- マーケット状況や競合
- 資金計画
- 売上、利益計画
それぞれ順に、具体的にどんな内容を書けばいいのか紹介します。
会社の名称、所在地、創業者など基本情報
どんな会社なのかという前提条件として、会社の概要を記載します。社名や所在地だけでなく、創業者や役員に関しての氏名、肩書などは明記しておきましょう。
創業者の経歴、キャリア、創業の想い
どんなひとが何の目的で作った会社なのかがわかることで、読む人にとっては会社全体の理解が深まるでしょう。
そのためには、まず創業者の経歴を記載することで、事実をもって会社運営の資質を伝えられます。人材紹介業への経験や、あるいはそれまでの経歴を記載することで、会社の将来性を伝えましょう。経験年数や勤務先、役職、資格などが書かれていると明確です。
創業者の創業への想いも重要で、事実とは別の角度で創業の目的や動機を伝えることができます。
会社のビジョン、理念、目標
会社がどんな価値観で運営されていくのか、またどんな理念や目標を立てて運営されていくのかを明記すると、将来の方向性を伝えられます。
事業内容
人材紹介業として、どんな事業展開をしていく予定なのかを記載します。たとえばどんな人材を中心に紹介していくのか、集客方法や求人開拓の方法、人材紹介業以外での事業があるのかなど、詳細に記載します。
商品やサービスの特徴、強み
自社の強みがどの部分にあるのかを理解しているのかどうかは、自社他社を問わず重要です。融資や取引相手には、さらに明確に伝えられるよう記載しておきましょう。
マーケット状況や競合
他社との差別化をどう明確にしていくかも重要なポイントとされます。他社サービスとの差異を市場調査しましょう。
資金計画
事業は継続することが最も重要です。資金計画を立てて事業を運営していることを伝えるために、明確な数字をもって資金計画を伝えましょう。
収支の明細記載や、資金調達方法の記載などが上げられます。借入も含む場合には、返済計画もあわせて記載しておきましょう。
売上、利益計画
財務諸表を意識した損益計算を、予想図でもよいので記載しましょう。売り上げや利益計画が明確に記載されていることで、明確な根拠がある内容なのか、また実現可能性があるのかを判断してもらえます。
まとめ
ここまで、「職業紹介事業計画書」と一般的な事業計画書に関して説明してきました。人材紹介会社を設立して営業のための許可申請をするのは手間がかかることですが、実際に収益を立てて事業を回していくためには、事業計画書を作成して事業の見通しを立てていくのは重要です。
作成自体は簡単ですが、収益をどうやって立てるか、事業をどう運営していくかを考えるのは簡単ではありません。
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