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【後編】人材紹介事業を最短で収益化する
60日で成果につなげる実践ロードマップ

はじめに|「成果を再現するための型」を実運用して成約を獲得する30日間

前編では、人材紹介事業を立ち上げて最初の30日間で、初回面談から推薦、選考に進む流れが回り始める状態をつくることを目的に、準備と初動の進め方を整理しました。
この時点で既に、初回面談が一定数発生しており、推薦や選考進捗が複数動き始めている状態になっているはずです。

この後編では、その状態を前提として、31日目以降、どのように動けば実際の成果につながるのかを具体的に解説します。

後編の30日間では、前編でつくった型を使って、判断軸や進め方を実際の選考に当てはめ、精度を高めながら、決定が現実的に見える動きへと調整していきます。

ここで目指すのは、成約を生むための再現性のあるプロセスを確立することです。

※本記事では「60日」を、有料職業紹介事業の免許取得後、紹介事業を開始した日を起点とした60日間と定義します。


後編|31〜60日間のスケジュール

期間やること目的
31〜45日目推薦・選考の振り返りと調整通る・落ちるの判断軸を固める
46〜60日目面接・条件調整・決定対応決定を出す動きに切り替える

31〜45日目|推薦・選考の結果から判断基準を固める

31日目以降は、新しい施策を増やすフェーズではありません。
この期間の役割は、前編で回り始めた面談・求人提案・推薦の動きを振り返り、「どうすれば選考が進むのか」を自分の言葉で説明できる状態をつくることです。

やること①応募承諾の成果要因を言語化する

まず取り組むべきは、求人提案の結果の振り返りです。ここでは感覚的な反省ではなく、前編で設定したKPIと紐づけて、事実ベースで整理します。

整理する観点は、次の3点です。

  • どの求人を、どんな求職者に提案したか
  • 応募承諾にあたり、どの点が評価された、もしくは懸念されたか
  • その結果は、事前に想定できたものだったか

これにより、前編で決めた取り扱う求人の基準が、実際の求人提案の結果と合っていたのか、ズレていたのかを確認でき、感覚ではなく言葉として蓄積されていきます。

この時点では、応募承諾率を無理に算出する必要はありません。承諾された求人提案と承諾に至らなかった求人提案を並べて、「何が違うか」を説明できれば十分です。


やること②書類通過率をもとに、推薦の良し悪しを判断できるようにする

この期間から、週次の書類通過率の分析を本格的にはじめていきます。

立ち上げ初期の目安としての書類通過率は、以下がひとつの参考ラインになります。

「未経験・ローレイヤーの営業職」の場合

  • 20〜25%:求職者が選考通過できる求人の応募承諾が取れているが、まだミスマッチな推薦が混ざっている
  • 25〜35%:求人提案の条件が整理され始め、狙うべき求人と求職者の組み合わせが見えてきている
  • 35%以上:求人提案の精度が高く、判断基準に再現性が出始めている

ここで見るべきなのは数字の高さそのものではなく、数値をもとに分析を行い、なぜこの条件だと通り、この条件だと止まるのか、推薦の質を言語化できるようになることです。

※上記数値はあくまで参考値です。求職者の年収帯や、業界職種によって異なります。


やること③「提案しない求人」の基準を決める

この期間では、推薦の精度を上げるために「何を出すか」だけでなく、「何を出さないか」を明確にします。

ここで行うのは、求人単位ではなく、求職者のセグメントごとに提案範囲を決めることです。

たとえば人事職を希望する求職者を例にとった場合、次のように経験でセグメントを分けます。

  • 正社員経験なし
  • 人事経験はないが、近似職種(人材系など)の経験あり
  • 人事経験者

このセグメントごとに、「メインで狙う求人」と「チャレンジ枠」をあらかじめ定義します。

正社員経験なしの場合
メイン応募求人:希望職種にこだわりすぎず、入社要件が低く、まず正社員としての経験が積める求人
チャレンジ求人:未経験OKの人事職、近似職種(CAなど)

近似職種(CAなど)経験ありの場合
メイン応募求人:未経験OKの人事職、近似職種(CAなど)
チャレンジ求人:人事職

人事経験ありの場合
メイン応募求人:人事職

このように、セグメントごとに提案範囲を決めておくことで、「この層にこの求人は出さない」という判断を事前に言語化できます。

結果として書類落ちが続いているのであれば、それは工夫不足ではなく、提案範囲が合っていないサインと捉えます。

たとえば、特定の業界経験がないケースが連続して落ちているのであれば、その条件は求人提案の対象から外します。
また、年齢や経験年数によって明らかに通過率が下がっているのであれば、そのラインを基準として再設定します。

こうして、書類選考の結果を感覚で終わらせず、次の求人提案の精度を上げるためのルールを設定していきます。

この基準が固まると、

  • 無駄な推薦が減る
  • 企業とのやり取りがスムーズになる
  • 求職者への説明に一貫性が出る

といった数字以外の効果が、表れ始めます。

46〜60日目|決定に向けた動きへ切り替える

46日目以降は、31〜45日目で固めた判断基準を使い、「決定が現実的な選考」に時間を集中させる期間です。

この時点で重要なのは、すべての選考を前に進めようとしないことです。
限られた時間とリソースを、決定まで到達する可能性が高い選考に寄せていきます。


やること①決定を狙う選考を明確に絞る

まず行うのは、追う選考の整理です。
46〜60日目では、「すべての選考を平等に追う」動きはやめます。

見る観点はシンプルです。

  • 企業側の採用温度が高いか
  • 求職者の意思決定軸が明確か
  • 条件面で致命的なズレがないか

この3点を満たす選考だけを、「今月決定を狙う選考」として明確にします。

ここで選考を絞ることで、以降の動きに迷いがなくなります。


やること②面接後のフォローと条件調整に集中する

すでに進んでいる選考の成功確率を上げるために、この時期に最も重要なのが、企業側のアトラクト材料を集めることです。
アトラクト材料とは、単なる待遇や条件ではなく、「この会社を選ぶ理由になりうる事実」です。

面接後、必ず企業側に確認したいのは次のような点です。

今回の面接で評価された点・迷った点

求職者の意思決定を後押しする材料になります。
企業が求職者のどこを良いと感じ、どこに懸念を持ったのかが分かれば、次の面接や条件調整で触れるべきポイントが明確になります。

同じポジションで過去に内定した人の共通点

これは求人票にはほぼ書かれていませんが、決定率を左右する重要な情報です。
求職者に対しても、「このポジションでは、こういう人が評価されています」と具体的に伝えられるようになります。

入社後に評価されている行動・成果

これは年収や条件以上に、求職者の不安を下げる材料になります。
入社後のイメージが持てるほど、内定承諾率は上がります。

集めたアトラクト材料は、そのまま求職者に渡しても意味がありません。
重要なのは、求職者がその情報を使って「この会社で自分はやっていけそうか」を判断できる形に整理することです。

この整理の質が、条件調整や承諾率に直結します。


やること③意思決定を後押しする役割に切り替える

決定が近づくにつれて、キャリアアドバイザーの役割は「情報提供者」から「意思決定を支える存在」に変わります。


まず意識したいのが、情報共有の設計です。
リクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーで担当者が別れる場合、もしくは将来的に分業を見据える場合は、属人的な口頭共有は避けるべきです。

最低限そろえたいのは、以下の3点です。

  • 企業が評価した点と懸念点
  • 条件調整の余地がある項目と、その理由
  • 意思決定を進めるうえで企業が重視している期限や優先順位

これらを、Googleスプレッドシートやクラウド型の情報管理ツールを利用して、選考ごとに同じフォーマットで残しておくことで、担当が変わっても判断の質を落とさず運用することができます。

また、情報共有時に重要なのが、スピード感です。
これは感覚論ではなく、数字で考えるべきポイントです。

一般的に、

  • 面接後24時間以内にフィードバックを返す
  • 条件提示や追加情報を3日以内に出す

この2点が守られている選考は、承諾率が高くなる傾向があります。

逆に、1週間以上空いてしまうと、条件が良くても意思決定は後ろ倒しになりやすくなります。
46〜60日目は、「返答スピードを守れているか」をKPIとして見ていくことで、その後の結果に直結します。

このフェーズでやるべきことは、説得ではありません。
判断に必要な情報を揃え、迷う理由を一つずつ消していくことです。

それができていれば、決定はエージェントが作るものではなく、自然に生まれるものになります。


46〜60日目のゴール

この期間のゴールは、決定が出ていることそのものではありません。

  • 決定を狙う選考が明確に絞れている
  • 条件調整や意思決定の論点を整理できている
  • 次に決定を出すための動きが説明できる

この状態に入っていれば、60日を過ぎたあとも、同じ型で決定を積み上げていくことができます。

まとめ|60日でつくるのは「決定が出る前提条件」

判断を人ではなく数字に移し、次の打ち手を迷わず決められる状態を作ることが、収益化への最短ルートです。

この期間で差がつくのは、前編で整えた判断軸を、実際の選考に当てはめながら、どこに時間を使い、どこを切るのかを明確にしていくプロセスにあります。

60日間のゴールは、決定数そのものではありません。紹介の成果を感覚ではなく説明できる状態になっているかどうかです。

この状態まで整っていれば、60日目以降は「偶然の決定」ではなく、「再現できる収益」として決定数を積み上げていくフェーズに入れます。