【CA向け】キャリアプランの作り方!サポート方法から面接での活用法まで

キャリアアドバイザーが求職者の転職を支援する際、キャリアプランがどれだけ明確かは注目すべきポイントです。いま求職者がどの程度の粒度でキャリアプランを描けているのか、方向性はたしかにそれで合っているのかなどを確認しないことには、適切なアドバイスもできません。

しかし、歩むべき人生プランやキャリアプランは、その人の職業や大事にしていることでも様々に変化します。どのようなキャリアプランを準備して転職に進むべきか、求職者と伴走して作り上げていくために、本記事では、CAがキャリアプラン作成を効果的に支援するための方法を詳しく解説します。

キャリアプランはなぜ作るべきなのか

キャリアプランとは何か

キャリアプランは、いわば求職者の職業人生における詳細な設計図です。これまでのキャリアも参考に入れつつ、現在の状況を出発点とし、将来達成したい目標を明確にし、その目標に向かうための具体的な道筋を示します。

キャリアプランを長期的に見ていくためには、まず短期的な目標(1〜2年)、中期的な目標(3〜5年)、長期的な目標(5年以上)と分けた上で順を追って考えていくと整理しやすくなります。

CAの役割は、求職者が自らキャリアプランを描き、整理することを助け、実際に実行可能なレベルまで話し合いながら完成させていくことです。具体的には、求職者の強みや興味を明確にし、それらを活かせる職種や業界を提案したり、目標達成に必要なスキルや資格の取得計画を立てたりします。あわせて人生プランもヒアリングし、例えば必要とする収入や働き方についても明確にできると良いでしょう。

キャリアプランは求職者の経験や環境の変化に応じて柔軟に修正されるべきものです。

キャリアプランと将来の夢の違い

キャリアプランと将来の夢・目標は密接に関連していますが、その性質は異なります。将来の夢は、達成したい大きな目標や理想の姿を示すものです。例えば、「国際的な企業のCEOになる」や「自分の会社を起業する」などが挙げられます。これらは抽象的なイメージであることがしばしばで、具体的な手順や方法がその時点で浮かんでいない可能性があります。

一方、キャリアプランは、働く人としての理想とする役職や職務内容を実現するための具体的な手順や道筋を示すものです。将来の夢に対して具体的な道筋をつけるというアプローチももちろんできます。例えば、「CEOになる」という夢に対するキャリアプランには、「2年以内に MBA を取得する」「5年以内に部長職に就く」「10年以内に海外勤務の経験を積む」といった具体的なステップを考えていけます

CAの役割は、求職者が描く理想や夢を尊重しつつ、それを現実的で達成可能なキャリアプランに落とし込むよう手伝うことです。

キャリアプランを作るメリット

求職者のキャリアプラン作成メリット

求職者に充実したキャリアプランを作ってもらうには、求職者に作成メリットを感じてもらう必要があります。まず、自分の進むべき道が明確になることで、日々の行動がより充実することを伝えましょう。日々の学習をどう頑張れば、どのタイミングで目標を達成できるのかが見えることで、仕事や学習のやりがいを感じやすくなります。

具体的な目標が設定されることで、必要なスキルや資格が明確にもなります。必要なスキルや資格がわかると、これまでなんとなく使ってきた時間を有効活用していけます。

転職活動においても、自身のキャリアプランを明確に説明できることは大きなアピールポイントとなります。面接官からキャリアプランを聞かれたときに、自分の将来像を具体的に示すことで、意欲的で計画性のある人材だと評価されることもあるでしょう。

CAのキャリアプラン作成メリット

CAにとっても、求職者のキャリアプランを把握することには利点があります。求職者の長期的な目標や希望を理解することで、より適切な求人提案や、効果的なアドバイスの提供が可能です。求職者の理解度が高ければ高いほどグリップしやすくなり、他の転職エージェントの併用や離脱防止にも効果があるでしょう。

4ステップでできるキャリアプランの作り方

①求職者を知る

キャリアプラン作成の第一歩は、求職者をよく知ることです。CAは、求職者の経歴、スキル、興味、価値観などを丁寧に聞き取る必要があります。この過程では、単に表面的な情報を集めるだけでなく、求職者の本質的な希望や不安を理解することが重要です。

具体的には、過去の職歴や学歴、取得資格などの客観的な情報に加え、「どんな時に仕事にやりがいを感じるか」「仕事を選ぶ際に最も重視することは何か」といった価値観に関する質問も行います。また、「5年後、10年後にどんな自分になっていたいか」といった将来の展望についても聞き取りましょう。

CAは、求職者の話をよく聞き、共感的な態度で接することが大切です。第三者であるからこそ、求職者自身も気づいていない特徴や可能性を見つけられることもあります。例えば、「困難な状況を乗り越えた経験」を聞くことで、求職者の対応力の高さを発見し、それを強みとして活かせる職種を提案することができるかもしれません。

②仕事の世界を調べる

求職者の特徴や希望が詳細に分かったら、次は関連する仕事や業界について調査します。CAは、求職者が興味を持つ職種や業界の最新動向、必要なスキル、一般的なキャリアパスなどの情報を収集し、求職者に分かりやすく説明する役割があります。

これから自分で収集するのではなく、これまでの業界経験や、社内で蓄積されているナレッジ、あるいは転職支援経験でのデータを活用できる場合は積極的に活用しましょう。

CAは、これらの情報を求職者に提供する際、単に事実を伝えるだけでなく、求職者の特徴や希望との関連性を説明することが大切です。「この業界は〇〇さんの強みである△△を活かせそうです」「この職種は〇〇さんが大切にしている□□という価値観と合致しています」といった具合に、個人化された情報提供を行うことで納得感を高められます。

③目標を決める

次に、求職者が現実的かつ意欲的な目標を設定できるよう支援します。求職者自身が記入していけるシートを作って渡すのも、CA側でヒアリングしながらまとめていくのも良いでしょう。ここで決めた目標は、今後使いやすいよう見える形に残していくのがおすすめです。

目標設定では、短期(1〜2年)、中期(3〜5年)、長期(5年以上)のそれぞれについて考えます。例えば、「2年以内に〇〇の資格を取得する」「5年以内に△△業界のリーダー的存在になる」「10年後には□□の立場で働いている」といった具合です。

目標は具体的で測定可能なものにすることが重要です。「頑張る」「成長する」といった曖昧な表現ではなく、「売上を20%増加させる」「チームリーダーになる」など、達成したかどうかが明確に判断できる目標を設定します。

同時に、目標は挑戦的でありながらも達成可能なものである必要があります。業界の一般的なキャリアパスや求職者の能力を考慮しながら、適切な目標設定かどうかチェックしましょう。目標が高すぎる場合は現実的な範囲に調整し、低すぎる場合はより意欲的な目標を提案するなど、バランスの取れた目標設定に調整していくことで現実的なキャリアプランに近づけられます。

ここで立てる目標が、求職者の価値観や人生の優先順位とずれがないかも重要です。例えば、ワークライフバランスを重視する人に対して、長時間労働が前提の職位を目標にするのは適切ではありません。

この目標設定の場面では、求職者と対話を重ね、目標の背景にある思いや意図を十分に理解する作業が欠かせません。より求職者の本質的な希望に沿った目標設定にしていけるよう、丁寧な対話と理解を心がけましょう。

④実行計画を立てる

目標が決まったら、次はその目標を達成するために行うべきアクションを明確にします。このアクションも、求職者にとって現実的で実行可能なものである必要があります。

たとえば以下のようなアクションを定めていきます。

  1. 必要なスキルや資格を得るためのスケジュール
  2. 経験を積むべき職務や役割
  3. プラン修正のタイミング

例えば、「5年後にプロジェクトマネージャーになる」という目標に対しては、「1年目:基礎的なプロジェクト管理スキルを学ぶ」「2年目:小規模プロジェクトのリーダーを経験する」「3年目:プロジェクト管理の資格を取得する」といった具合に、段階的な計画を立てます。

求職者の現在のスキルレベルや生活状況を考慮しながら、無理のない計画を立てることが大切です。同時に、目標達成に必要な挑戦も盛り込むことで、成長の機会を確保します。

また、計画には柔軟性を持たせることも重要です。業界の変化や予期せぬ機会に対応できるよう、定期的な見直しと修正の機会を組み込んでおくとよいでしょう。

CAは、この実行計画を求職者と一緒に作成することで、求職者の主体性を引き出し、計画への強いコミットメントを促すことができます。また、計画作成の過程で生じた疑問や不安にも丁寧に対応し、求職者が自信を持って計画を実行できるようサポートします。

キャリアプラン作成・実行をスムーズに進めるコツ

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上手な聞き方を身につける

CAにとって、求職者の本当の気持ちや希望を引き出す能力は非常に重要です。これには、効果的な質問技術と積極的な傾聴スキルが必要です。

まず、開放型質問(オープンクエスチョン)を活用しましょう。開放型質問とは、「はい」「いいえ」では答えられない質問のことです。例えば、「その仕事の何が魅力的ですか?」「理想の職場環境とはどのようなものですか?」といった質問です。これにより、求職者はできるだけ詳しく答えようとしてくれます。

次に、積極的傾聴を心がけます。単に黙って聞くだけではなく、相手の話に真剣に耳を傾け、理解しようとする姿勢です。ときには相手の言葉を繰り返したり言い換えたりすることで、正確に理解しているのかを確かめられるだけでなく、相手にも理解する姿勢を見せられます。あいづちのタイミングや、表情や姿勢も相手にチェックされていると思ってのぞみましょう。

現実的なアドバイスをする

CAは、求職者のキャリアプランが実現可能かどうかを見極め、適切なアドバイスを提供することも求められる時があります。その際は、求職者の意思を尊重しつつも現実的な視点と指摘が必要です。

まず、求職者のプランが実現可能なのか、全体的に見ていきます。求職者の現在のスキルレベルが足りているのか、経験可能なキャリアなのか、時間的制約とプランでのミスマッチはないかなどです。

実現が難しいと判断した場合は、その理由を丁寧に求職者に説明します。単に「無理です」と否定するのではなく、代替案や段階的な改善提案をすることが大切です。

例えば、「今すぐその立場になるのは難しいかもしれませんが、まずはこの職種で経験を積み、〇年後に目指すのはどうですか」「〇〇のスキルは十分にありますね。あとは△△のスキルをさらに伸ばすことで、目標に近づけると思います」といった具合に、否定を避けつつ寄り添う提案が理想です。

やる気を保つ方法を教える

すぐに転職することにはならなくても、継続的にCAと連絡を取りながらキャリアアップの機会を待つタイプの求職者もいます。そうなると、面談でキャリアプランを作成した後にそのキャリアプランの進み具合を確認しながら相談に乗り、転職のタイミングを模索することになるかもしれません。その際は求職者のモチベーション管理が求められるでしょう。

定期的なフォローアップとして進捗状況の確認と傾聴、現段階の目標の確認などが考えられます。もしキャリアプランどおりに進めたくなくなったり、やる気が継続できずに挫折しそうだったら、再度希望の確認とモチベーションアップのきっかけづくりをしてあげる必要があるでしょう。

例えば、「目標を達成した時、あなたの生活はどのように変わっていますか?」といった質問を投げかけ、キャリアプランを進めていく意義を感じてもらいます。求職者のやる気や状況に合わせ、キャリアプランを修正していくことも選択肢に入るでしょう。

キャリアプランを生かした面接対策

キャリアプランを面接で聞かれることはよくあります。キャリアプランをしっかり作り上げるメリットの一つが、面接対策での活用です。

キャリアプランを面接で話すには、面接官の意図を理解しておくとより効果的です。面接官は応募者の将来性や価値観、自社でのキャリア展望を知りたいと考えています。そのため、単に夢を語るのではなく、その企業でどのように成長し、貢献したいかを具体的に説明するような話し方がよいでしょう。

また、企業の成長と自身のキャリアプランを結びつけることができれば、そういった話し方をしてみましょう。「御社の〇〇事業の成長に貢献しながら、自身も△△のスキルを磨いていきたい」といった表現で、両者の成長をイメージしていることをアピールできます。

しっかり作り上げたキャリアプランは、面接での質問対策や自己PRで効果を発揮できます。求職者が転職に際して自分の意見を軸をもって話せるよう、こうしてキャリアプランを一緒に作り上げていくと成功にもつながるでしょう。

まとめ

キャリアプランの作成は、求職者のキャリアと人生を豊かにする可能性を秘めています。CAは、キャリアプランを求職者と作り上げていくことで、転職を成功させるだけでなくよりよい人生を歩む手助けをしていけるでしょう。

求職者を深く理解する姿勢、適切な情報提供と分析、客観的な目を通した目標設定など、CAの手助けがあってこそ、より完成度高く仕上げていくことができます。作りこんだキャリアプランは、面接などの具体的な場面でも活躍し、求職者の転職成功確率を高めることができます。

キャリアプランの作成や、求職者への対応方法に悩んだら、ノウハウ資料やセミナーなどの情報に触れながら方法を模索してみてください。